ジー…ツーツー
「本日の…人数は…であり…」
周波数と針の角度を合わせるコツがわかってくると
はっきりとした音声が聞こえてきた
電池やコンセントも使用していないのに どうしてなんだろう?
タネも仕掛けも知らないままマジックを見ていた頃の感激を思い出しました。
息子と作っていた鉱石ラジオは、電波受信に成功したもようである。

鉱石ラジオ

落ち着いて考える事なども無かったけれど
船を降りていても年中 旅をしていたこの数年間
きっかけが無ければ息子と木登りをしてみたり工作をしてみたり
「一緒に」という大切な時間にも気が付けなかったかも知れない。

飛鳥兇1月から大改装の為にシンガポールに出航していたので
新型コロナウイルスの猛威をかわす事が出来た事は幸いでした。
しかし早い段階から日本籍の客船は運航を中止して
感染の抑止に努めていた事は素晴らしい対応だったと感じます。
残念ながら私の舞台も全てお休みになってしまいましたが
お客様の安全が何よりも大切です。

瓦礫処理

そんな中、私も日常の新しいルーティーンが完成しておりました。
朝のヨガからはじまり、ご飯を頂き愛犬ニコルとの散歩
近所の河川敷を歩くのですが、昨年の台風19号の瓦礫がまだ残っているので
人に出会う事は まずありません。
見渡すと流木や傷んだペットボトルが多く散乱しています
何気なく瓦礫の山から1本の枝を引き抜いて地面にさしてみると
この単純な作業がなんだか面白くなってしまいました。

この日からガレキとゴミの選別がはじまりました。
自宅からは手引きのノコギリやスコップを持ち出して撤去作業に没頭します。
何の生産性も無い事ですが、2ヶ月が経過する頃には
息子と2人だけで大木を覆っていたガレキの山を取り除く事が出来ました。
小さな村を作ってみたり、自然の中でただ遊んでいただけでしたが
気が付けば土砂に埋まっていた枝からは、新しい芽が生まれています。
傷ついた木が元気になったかと思うと「ほっこり」嬉しい気持ちになりますね。

新型コロナウイルスとの闘いは、まだまだ時間がかかる事でしょうが
ゆっくりと世の中も動き出してきました。
これ程までに長い時間を、家族で過ごせるという機会は
おそらく今後の 私の人生に於いて無いと思います。
日々の生活の中で 子を育てていると思っていたはずが
自らが育てられている事に気がつく瞬間もたくさんありました。

鉱石ラジオ

毎日 木に登って季節で変わりゆく花の景色や草木の香り
そして 鳥の声、自然の豊かさを感じているうちに
いつの間にか飛鳥兇濃箸うと考えていた台本も仕上がっていました。

「最後の木が枯れ、最後の川が汚染され、最後の魚を釣り終えた時に、人は初めてお金が食べられない事に気がつくであろう。」
北米の先住民に伝わる言葉の意味を考えていたのです。

この少年と小道を歩いている瞬間を 幸せと感じられる感覚は、
生涯消える事は無いでしょう。