ビルが立ち並ぶ繁華街の一角に、突如日本式の門構えが姿を現す。
建物に入ると「萬事莫如花下酔百年渾似夢中狂」と書かれた額が掲げてあり
さらにロビーへ進むと「薫風閣」と書かれた文字が出迎えてくれる。
こちらは明治33年に伊藤博文が逗留した際に書かれたそうな

中庭を覗くと弓状にそった木製の反橋が掛けられていて
まさに古写真で見たままの庭園が広がっているのだ。
興味津々の質問に、御丁寧に解説して下さるのはスタッフの山田さん。

 浮月楼(古写真)

この場所は徳川慶喜公が大政奉還後、20年間に渡りお住まいになられた 静岡の浮月楼
建物は幾度かの火災の為、再建されているのですが
庭園は当時のまま時代の面影を残している様子。
そして現在は、料亭へと姿を変えて人々をお持て成ししているので御座います。

入口で出迎えてくれた書も慶喜公直筆の物で
「何事も花の下で酔うにこしたことはない、人生は夢の中に狂うのと似たようなもの」
と語っているそうです。
本人の言葉なのかは、わかりませんが
過去の大きな責任を果たした慶喜公が駿府の地で、
落ち着いた暮らしをされていたのだろうかと、書から勝手な想像が膨らんで参ります。

敷地内には小さな歴史資料室も併設されておりました。
趣味で撮影をされていた写真本が展示されており
その中には、なんと飯盛山の白虎隊碑を訪ねた時の写真も含まれていた。
後年 会津を訪問していたとは驚きでございます。
土地の人々や隊士の気持ちを考えると途轍もない事であり、切なさを感じてしまいましたが
時を経て慶喜公自らが弔いの為に訪れたのでしょうか。

…そんな事を考えながら庭園を散歩していると
本番前の気持ちの高ぶりとは別な感覚である事に気が付きました。
明治の頃と同じ景観を感じる事が出来て
古写真で見た、同じ水辺に立てている事に興奮しているのか
今回も責任重大なお客様方では御座いましたが
いつもよりは緊張感が緩和されていた様でございます。

浮月楼

仕事とはいえ好みの場所を訪ねる事が出来まして、とても嬉しい旅路
浮月楼 プライベートでも、また訪れたいな

さて、今週末からは仙台ロイヤルパークホテルでもディナーショーが開催されます。
一般公開の情報は定期的にホームページにて掲載しておりますので
是非ご来場賜りますようお願い申し上げます。